コミュニケーションを考える~否定しないことがもたらすもの

都立大山高校の話

日経新聞の「キセキの高校」を興味深く読んでいます。
都立大山高校が始めた「哲学対話」です。
10名くらいが車座になって、あるテーマについて対話をする試みです。
ルールは、「自由に意見を言っていい。でも他人を否定してはだめ」。
偏差値が都内で最低と言われる学校で、授業中教科書を開くことさえしなかった生徒たちが、真剣に熱く語り始めたそうです。
そしてここ数年で、有名大学に進学する生徒が出始めたとのこと。
互いの意見を否定しない場所で、自由に問いを立てて、意見を述べることが、生徒たちに何をもたらしたのでしょうか?

人は自分を理解してくれた人の話を聞く

人は自分の聞きたいことだけを聞く生き物だと言われています。
レセプターが開かない、つまり聞く耳を持たなければ、いくら言っても無駄。
そして、人は自分を理解してくれる人に、レセプターが開くのだそうです。
互いの意見を否定しない、ということは相手の意見を尊重するということ。
自分の意見を尊重し、受け入れてくれる人にはレセプターが開くので、その人の話を聞く。
そうやって皆が人の話を聞くようになり、自分の意見も言えるようになる。
そして自信が出てきて積極的にいろいろなことに取り組めるようになる。
否定しないこと、は皆のレセプターを開かせ、場にエネルギーをもたらすスイッチかも知れません。

「あさが来た」の主人公のコミュニケーション術

2015年に放送されていた、朝ドラの「あさが来た」がまた再放送されています。
あのドラマは、私がコーチングを学び始めたころに見ていて、非常に勉強になると思っていました。
主人公のあさは、明治維新の混乱の中、嫁いだ先の両替商を立て直しただけでなく、銀行や保険会社を設立し、女子の大学校を設立するなど教育にも尽力しました。
あさが新しいことを始めようとすると、周囲から必ず猛反対を受けます。
その時あさは、「へえ、○○様のおっしゃることはその通りだす。うちも、○○だと思います。」と相手の意見を否定せず、必ず受け入れます。
そのうえで、「そんな中で、わてはこんなことを考えましたんや」と自分の考えを述べ、相手に、新しい選択肢として自分の提案を考えてもらえないかと促すのです。
私はあさの交渉相手になった気持ちでこの番組を見るようになっていました。
自分の考えを受け入れてもらえると、相手に好感をもち、不思議とその人の話を聞こうと思うのだな、と実感しました。

自分の力を誇示するかのように、相手をまず否定してかかる人がいますが、もったいないと思います。
その時点で相手はレセプターを閉じ、対話のシャッターを下ろすので、実はとても損をすることになります。
安全な場をつくり、対話を促し、前向きなエネルギーを生み出す。
否定しないこと、がもたらすものはとても大きいと感じています。

この記事を書いた人

重次泰子

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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