PTAは変われるか?

毎年4月は保護者(特に母親)にとって、気が重い季節だと思います。
学年始めの保護者会で、PTAの役員決めを行うからです。
何かの役員になると、平日に何度か休みを取ったり、土日の時間を割いたりして活動をする必要があります。
私が保護者だった10年近く前、すでに共働き世帯の数は、専業主婦世帯を上回っていて、役員決めも大変でした。
そしてその後の10年で、共働き世帯の増加ペースは加速しています。
また、単身親世帯の割合も、介護の必要な世帯も増加、介護と子育てをダブルで背負っている世帯もあるなど、社会はさらに大きな変化に見舞われています。
役員決めがさらに大変になっているのは想像に難くありません。
あまりに決まらないので、役員を決めるための役員を設ける学校も多いようです。

学校の先生方の時間外労働の多さが問題になっている昨今、「何かお手伝いしたい」と考える保護者は少なくないと思います。
実際に活動してみると、保護者同士のネットワークも広がるし、得るものも多い。
「負担の重さ」や、「義務感、やらされている感」を減らせば、参加したい人は増えるはずです。
社会の現状に合わせ、PTAも制度や仕組みの見直しが必要になっているのではないでしょうか。

仕組みを変えにくい雰囲気

ずいぶん前の話ですが、私が「役員を決めるための役員」だった時、「PTAはなくした方が良いと思うので、本部役員に立候補します」という若いお母さんがいました。
本部役員というのは、クラス選出の役員を統括するPTA会長、副会長などの方たちです。
結局そのお母さんが本部役員になることはありませんでした。
そして私自身、正直なところ、「異端な人が来たな」と思ってしまったのです。
実際に自分が委員になってしまうと、委員としての目的、つまり役員決めが、無事に終わること、だけしか考えられなくなっていました。
最近学んでいるアクションラーニングで、「イノベーションはばかげた質問から起きる」ことを知りました。
しかし、PTAでは、「ばかげた質問」、すなわち、「何のためにこれをやるんですか?」、「この仕事は本当に必要ですか?」という質問はできないと思います。
安心安全な場ではないからです。
PTAという組織は、制度や仕組みを変えるのが最も難しい現場の一つかもしれません。

本当の目的は何か?

大変なPTA活動でも、やってみるとよかったことは沢山あります。
学年の違うお母さんたちと友達になれたり、先生と沢山話ができたり、など。
しかし、もしあまりにマイナス面が大きくなってしまうなら、本来の目的に立ち返って、仕組みを変える勇気を持つべきだと思います。
PTAの本来の目的は、「児童生徒の健全な成長」であり、それさえ担保できれば、一部の人に負担が集中しないよう、皆が楽しく参加できるよう、工夫はできるはずです。
問題は、誰がそれをやるのか、です。
企業であれば、それはトップの仕事です。
マニュアルに無く、来年退任する自分たちは改革のメリットを享受できないのに、変わることを受け入れない保護者を説得する大変な改革を、PTAの誰がやるのか。

以前私の子供たちが通っていた埼玉の小学校では、ある時にPTA会長が奮起し、役員をなくしてすべての仕事を細分化し、クラスの保護者が全員で分担する仕組みに変えました。
自転車整備係、落ち葉の掃除係、教室のカーテンを洗濯する係、新聞発行係などなど。
日本全国の小学校のどこかで起きている勇気ある試みが、全国に広がることを祈るばかりです。

この記事を書いた人

重次泰子

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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