「大人の相互依存」のススメ

私たちは小さい時から、「人に迷惑をかけてはいけない」と教えられています。
だからごみを散らかさないし、電車に乗る時もちゃんと並ぶ。
でも、それが高じて「人に頼らないで自分で何とかする」が過ぎている気もします。
もう少し人に頼っても良いのではないか、その方がうまく行くことも多いのではないか、この頃そう感じます。
「自分はこれが苦手(できない)から、お願いしても良いですか。その代わり、私の得意なことでお返しします」
自分がこう言われたら、意外と嬉しい気がします。
自分の弱い部分を開示してくれた人には親近感が湧きますし、自分が困った時、この人に頼ってもいいのだな、とちょっと安心します。

頼り頼られることの効果は大きい

一人ですべてをやるよりも、互いに得意なことをやった方が生産性は高まる、ということをわかってはいても、実際に実行するのは意外と大変です。
頑張って自分を磨いてきた大人ほど、人にお願いすることのハードルは高いのです。
先日NHKスペシャルで特集されていた、イチロー選手の言葉が印象的でした。
10年ほど前から、日本での自主トレに、プライベートで出会った野球経験のない仲間が手伝いに来てくれるようになったそうです。
「だってすごい孤独なんです。それを仲間が和らげてくれる。」
「以前は自分一人でやらなきゃと思っていたし、出来ると思っていた、でも今は無理。」
「僕は迷惑をかけます、迷惑かけて、それで自分にできることでお返しすることにしたんです。」
イチロー選手は言います。
「(協力してくれた)この人たちに対して恥ずかしいことはできない。」
もしかしたら、イチロー選手が選手登録を外れてもチームのために頑張れたのは、この体験があったからかもしれません。

寛容な社会は、人にお願いすることから生まれるかもしれない

日本の幸福度が今年さらに低下し、「寛容さ」の説明要因が特に低下したことが話題になっています。
個人で何でも頑張ってやる人は、時に人に厳しくなってしまうかもしれません。
「それぐらい、自分で何とかできるでしょ?」という具合に。
でも、誰かに助けてもらって、そのありがたみが分かれば、人にも寛容になれる気がします。
そしてそこで新たなつながりもでき、新しいアイディアや力も沸く。
自分ができることでお返しする、という前向きな気持は、きっと相手にも伝わるはずだと思います。
「迷惑がかかるからお願いしない」ではなく、「今回は迷惑かけちゃうけど、次でお返ししよう」と気楽に考えて、お願いしてみませんか。

この記事を書いた人

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重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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