働きやすさの指標を義務化
厚生労働省が大企業に対し、働きやすさの指標を少なくとも1つ以上開示するよう義務付ける方針、との記事が出ていました(3月6日日経新聞)。
以前、このブログでも、男性の育児休業取得率を開示してほしい、と書きました。
女性の活躍が先進国で最低水準である日本は、企業に自助努力を求めてもなかなか変わらないので、義務化することは意味があると思います。
ただ、1つ以上というのはあまりに残念です。
従業員男女内訳(職種別)、有給取得率、離職率、うつ病など罹患率、正規社員と非正規の比率、育児休業取得率(男女とも)、女性の勤続年数、育児を終えた女性の再雇用実績、など、開示してほしい指標はまだ沢山あります。
働きやすい職場への取り組みを行っている企業は、積極的に開示していただき、ブランド価値を大いに上げていただきたいと思います。
働きやすい職場にするのは、成果を上げるため
日本の2018年の労働生産性(時間当たり)は、OECD36か国中20位と依然として低いレベルです。
これから生産年齢人口が急速に減少するので、生産性が変わらなければ、GDPは減少します。
何とか生産性を引き上げて、成長し続けなければ、国力を維持することはできません。
設備投資を増やす、ルーティン業務を自動化する、など生産性を高める施策は様々ですが、日本で遅れているのは職場環境の整備だと強く感じます。
2017年のギャラップ社調査によると、日本企業では熱意溢れる社員が全体の6%で、米国の32%を大幅に下回り、世界139か国中132位とほぼ最下位でした。
原因の大部分は上司との関係でした。
上司に指示されたことをやらざるを得ない職場環境が、社員のやる気を奪っていたのです。
日本の企業が生産性を高めるためには、従業員一人一人が主体性をもち、「内なる動機付け」によってのびのびと働けるような環境を整える必要があります。
働きやすい職場をつくるのは、成果を上げるためなのです。
企業研修やワークショップで感じること
この頃企業研修やワークショップにサポートコーチとして参加させていただくことが増えました。
若手リーダー研修、管理職のマネージメント研修など、横断的な研修が多いのですが、最近チーム単位での研修に参加することができました。
職場は一緒でも、メンバー同士、マネジャーとメンバー間では微妙に距離があり、遠慮がちで会話が少ないチームも少なからず見られます。
それでも、ワークショップの最後に、お互いの強みや、すごいと思っていることをフィードバックし合うと、皆さん頬が紅潮し、嬉しそうな表情になります。
特に、マネジャーからのプラスのフィードバックの時の皆さんの表情はとても印象的です。
「○○さんは話しづらいと思っていたけれど、これからはもっと気軽に話せると思う」
「○○さんの印象が変わりました」
皆さんの表情を見ているとこちらも嬉しくなるのですが、逆に、何もしなければ「遠慮がちで会話が少ない、微妙な職場」が世の中には多いのではないか、と複雑な気持ちにもなりました。
働きやすい企業が当たり前、そういう社会にしていかなければいけないと思います。