最近読んだ本の中で、一番のヒット作!
サイエンスライターの鈴木祐氏の著作。
10万本の研究論文を読破し、600人を超える海外の学者や医者をインタビューしたというだけのことはある!
私が今一番知りたいことを、客観的なデータや研究結果を用いて、簡潔に、わかりやすく解説してくれています。
文明が発達したのに、都市部に住む人間が幸せになっていないという事実。
その原因は、人間が本来適応していた狩猟時代と、今の環境が大きく異なるために発生した文明のミスマッチ(文明病)であるというところが新鮮です。
筆者は、文明病を引き起こす要素は、炎症と不安の二つとしています。
炎症レベルが高いと体調が悪くなり、不安が大きいと、記憶や判断力が低下し死期が早まる。
この二つに対処することで、心と体の両面で、体調をよくすることができるというのです。
炎症を抑えるポイントは、腸と環境とストレス
腸内環境を整えることはある程度意識していましたが、自然とかかわることがこれほど炎症レベルを下げるとは知りませんでした。
そういえば、以前よくキャンプに行っていましたが、2日目くらいから体の細胞がプチプチと喜んでいるような不思議な感覚を味わったことがあります。
都会の生活に慣れて、自然にあまり触れなくなっていましたが、自然の中で時間を過ごすことを毎日の生活に取り入れたいと思います。
もう一つ、炎症の原因であるストレスは、睡眠と運動が少ないこと、デジタル環境からの刺激が多いのが要因とのこと。
スマホを持っていなかった方が良かったと正直思っていますが、すでにそれを使うことが組み入れられている以上仕方がありません。
フェイスブックやラインを見る時間を1日3回だけという風に限定すること、これが鍵だと改めて感じました。
不安をなくすには、未来を今と近づけること
元来人間は、毎日生きることで精いっぱいだったので、未来という感覚がなかったそうです。
農耕を始めて、遠い未来という時間軸ができたので、不安が生まれたとのこと。
不安をなくすには、まず、自分の持つ本当の価値観を知り、それに合った行動をすることが大切です。
ここで、また行動経済学のダン・アリエリ先生の言葉を思い出しました。
人間は信念があるのに、それに沿った行動をしていない、極めて不合理な生き物だと。
実際の行動と、自分の価値観が違うと、不安が大きくなるということだと理解しました。
自分の価値観を知るために、この本で紹介されているACT(価値評価スケール)を試してみました。
私が今行っているプロジェクトをすべて書き出し、それに、やりがい度、重要度、没頭度など14の観点で点数(1~10)を付けます。
点数の合計が一番高かったものを5つ選びだします。
私の場合、ストレングス・コーチングのスキルを上げる、ブログで発信する、充実した毎日を送る方法を探る、チームが成果を上げるスキルを身に着ける、などでした。
各々について、そもそもなぜ自分がそれをやるのか、など目的を問う質問を繰り返していきます。
私も、ストレングス・コーチングのスキルを上げる目的を問い続けてみました。
出てきた答えは、日本人の幸福度が上がる、とか、自分がやりがいを感じる、など。
シンクタンク時代から、日本の幸福度ランキングがとても低いことが妙に気になっていたのは、自分の価値観に関係していたからかもしれません。
起業した今は、自分の価値観に沿って行動できているので、その点の不安は無いと言えます。
自分を観察することが、不安を和らげる
印象的だったのが、マインドフルネスの効用です。
これまで瞑想をする目的が今一つ理解できなかったのですが、答えを得ることができました。
今の自分の感情を、客観的に観察することで、どんな感情も一時的なものであることを体感し、ストレスへの耐性が強まるという仕組みです。
私は自己理解とは、自分を客観視できることだと思っています。
自分の○○の資質が暴走しているな、と空からもう一人の自分が観察することができれば、心が落ち着く。
マインドフルネスはその練習だとわかりました。
目を閉じなくても、食べる、皿を洗うなど、動きながら今の自分の感情を頭の中で言語化すればよいのです。
そして、軽いランニングが、その効果を高めると書いてありました。
なるほど、沢山の人が走る理由はこれか!
走ることで、知らないうちに頭の中がすっきりし、ストレスが軽減する、これは大きなご褒美に違いありません。
どんな生活をすれば、幸福度の高い、充実した人生になるのかを考え、毎日試行錯誤しています。
この本は、かなり確度の高い答えを提示してくれたと思います。
何となく体が不調で、モヤモヤしている人には是非お勧めしたい本です。