「世界最高のチーム」を読んで考えたこと

グーグルでアジア太平洋地域の、人材、組織、リーダーシップ開発に携わったピョートル・フェリクス・グジバチ氏の著作です。
2000年に来日し、日本通として知られる彼が、今後日本企業がどうあるべきかという視点で語っているところが面白いと思いました。

良い職場環境を追求しリサーチを行うグーグル

グーグルの2つの大規模社内調査の結果からスタートしています。
一つは、「マネジャーの役割や仕事に関する1万人調査」、もう一つは、「生産性の高いチームの特性についての調査」です。
実施されたのが2006年と2012年。
客観データをもとに、グーグルは圧倒的なスピードで「働きやすく、成果を上げる」職場づくりを行ってきました。
一方、日本企業はどうでしょうか?
過去の成功体験に縛られて、変化を受け入れられない大企業が依然として多いのではないかと感じます。

チームのパフォーマンスを高めるマネジャーの在り方

チームのパフォーマンス高めるマネジャーの特性で一番大切なのは「良いコーチであること」、また生産性の高いチームの特徴は「心理的安全性が高いこと」でした。
つまり、マネジャーとして最も大切な役割は「メンバー一人一人が安心して、自分らしく働ける場、自己認識・自己開示・自己表現ができる場を作ること」。
グーグルでは、1on 1を実施していますが、その時マネジャーがあるべき姿をいくつか挙げています。

  • 一人一人をそのまま人として承認する
  • モチベーションや信念などに気付く、価値観ベースの質問をする
  • メンバーの個性に応じて接し方を変える
  • 愚痴はチャンスと捉え、前向きな話に変わるまで会話を続け、「よく言ってくれた、ありがとう」と感謝の言葉で締める
  • 「腰が低く」謙虚で、自分の弱みを開示できる人間的魅力(チャーミングさ)を持つ

一方あるべきでない姿として

  • せっかくの1on 1で業務の進行状況を確認するなど、「人生を無駄にする質問をする」
  • 「思考の多様性」を妨げ、新しいアイディアを封じる
  • 「失敗したら誰が責任取る?」「他社はどうしている?」など、現場メンバーの自発的な言動をむやみに止める
  • チームを会社のために動かさず、自分のために動かす(ギャングリーダー)

などが挙げられています。

組織・チームの在り方

まず、組織の在り方は、ピラミッド型からツリー型に移行すべきだと述べています。
ピラミッド型は、「上からの圧迫が強くて下が死んでいる、発言の自由がない」一方、ツリー型はオープンで外の業界と有機的につながる組織です。

また、計画を決めてから動く「計画主義」では遅く、走りながら考え、変えていく「学習主義」でなければ成果は上げられない、と指摘しています。
これは、先日私が学んだ「アクションラーニング」の考え方です。
マネジャーが計画し、指示するのでは、チームはマネジャーの能力以上にはなれません。
マネジャーは、チームがさらに大きな成果を出せるよう、ファシリテーターやコーチ役に徹し、チームの成長を促します。

そして、マネジャーは「プレイングマネジャー」から「ポートフォリオ・マネジャー」になるべきだとしています。
日本企業のように、マネジャーがメンバーの管理や指導をしながら、メンバーと同じ業務をこなすのは問題だと警鐘を鳴らしています。
忙しすぎるので、部下の育成が後回しになり、結果としてチームの成果が上がらない。
マネジャーは社内外のあらゆるリソースを活用する「ポートフォリオ」を考えるべきとしています。
これを読んで、あるマネジャーの話を思い出しました。
自分はプレイングマネジャーなので、メンバーよりも多いノルマを達成しなくてはならないし、評価基準に部下育成が含まれないので、部下を気にかけるインセンティブが働かない。
その方も、部下とのコミュニケーションが思うように取れないジレンマを感じているようでした。

日本らしい組織の在り方は?

日本でもメルカリなどベンチャー企業で、グーグル型の形態をとり、成果を上げている組織がいくつもあります。
しかし、ピラミッド型で、経営幹部のマインドセットが変わらない組織では、急な移行は難しいでしょう。
クジバチ氏の見解です。
日本は、以前は飲みにケーションで、社員が抱える悩みや今後のキャリアという根本的な話がされていたし、時にはガス抜きになっていた。
それがなくなり、もともとフィードバックの仕組みがない中で、上司と部下の関係が遠くなり、それが意思決定の遅れや生産性低下につながっている部分がある。

ピラミッド型の日本企業でも、見た目の組織図は大きく変えなくても、マネジャーの役割を見直す、マネジャーの評価基準に部下育成を加える、個人ではなくチーム単位で評価する、などできることは沢山あると思います。
「やったことが無いから」とか、「誰が責任を取るのか」という議論はするが、何も実行しないという選択肢を取る余裕はもうないと思います。
まずは「小さなことでも変える勇気」を持って、成功体験を積み上げていくべきだと強く感じました。

この記事を書いた人

重次泰子

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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