不適切統計問題と特別監察委員会
毎月勤労統計の問題が発覚した後、厚生労働省が設けた特別監察委員会が、第三者の機能を果たしていなかったことが分かりました。
聞き取り対象となった31人のうち、事務方のみでヒヤリングしたのが19人、残りも有識者だけでなく事務方が参加していました。
「組織的な隠ぺいは認められない」と結論づけた報告書も、原案は事務方が作成していたことが判明しています。
本当のゴールは何か
上記の例を含め、「本当のゴールは何か」が明確にされていないと感じることがよくあります。
統計問題について、ゴールとすべきは、「2度と発生しないための仕組みを作ること」だと思います。
隠蔽ができないような仕組みづくりができれば、他の組織でも防止策を取ることができるので、効果は大きいはずです。
今回、「誰の責任なのか」という原因究明をゴールにしてしまったために、責任の所在をあいまいにしようという力が働いたのではないでしょうか。
本当のゴールが共有されていれば、仕組みを作るための原因究明なので、事務方が入ることが不適切であることは明らかなはずです。
厚生労働省の元次官で、冤罪で逮捕された経験を持つ村木厚子さんが、同省の問題について、次のように述べていました。
「問題を起こそうと思っている役人は少ない。背景には必ず何らかの圧力やひずみがある。
外からの目が入り、オープンになれば隠さずに済む、そういう環境を作ることが大切だ。」
普段の生活で常に意識したいこと
本当のゴールを考えることは、時としてとても難しいことだと思います。
企業の組織改革を行うときも、部署どうしの勢力争い、利権争いになってしまいがちです。
そんな時、「自分たちの目指すべきゴールは何か」を共有できれば、答えはおのずと見えてくると思います。