日本の組織文化は変われるか~山一証券の教訓

自主廃業に追い込まれた山一証券

平成もあとわずか。
平成とはどういう時代だったのかを振り返りたくなったので、NHKの「平成史スクープドキュメント 山一証券破綻の深層」を視聴しました。
91年、バブル崩壊で株価が急落し、金融機関は軒並み大きな損失を抱えます。
その後、自主廃業に追い込まれるまでの6年間で、山一証券で何が起こっていたのか。
経営陣の証言で明らかにされました。
名門企業と呼ばれた組織は、なぜ不正に手を染め、6年間表面化しなかったのか。
そこには、トップダウン(上意下達)という組織形態が、大きな要因となっていたことがわかります。

損失隠ぺいを命じた経営陣

企業に利回り保証をしていた山一証券は、91年時点で1200億円の損失を抱えました。
企業幹部は、社命として損失隠ぺいを命じ、さらに企業から積極的に資金を集めます。
当時の取締役は証言します。
「自分は社長に、経営を縮小しながら立て直しを図ることを進言したが、聞き入れられなかった。」
「社長が言ったことに逆らうことはできない。」
「経営幹部たちは、損失に対する当事者意識が欠如していた。」
問題意識は感じていても、どうせ社長が決めるのだからと、あきらめて従う幹部。
出世コースに復帰できるかもしれないと、不正と分かっていながら、損失隠ぺいを行う社員。
その一方、「僥倖に頼らずに現状を見つめ、経営を立て直すべきだ」という内部の提言が行われていたことも明らかになりました。
せっかくの告発は活かされず、その4年後に山一証券は破綻します。

日本の組織文化は変われるか

番組では、平成が終わる今でも、神戸製鋼のデータ改ざん、スルガ銀行の不正融資、東芝の不正決算など、トップダウンによる弊害が相次いでいると伝えていました。
日本の企業は、正しいことを安心して主張できる文化になっているか?
誰でも新しいアイディアを出せる風通しのよい環境ができているか?
バブル崩壊という大きな代償を払ったにもかかわらず、その失敗から学んでいないのではないか、私たちは今一度問い直すべきだと感じました。

この記事を書いた人

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重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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