チームのダイバーシティ(多様性)を活かす心理的安全性とは

ある大企業の経営幹部の方の話です。

「自分がまだ若かったころ、尊敬する上司が『自分の一番の役割は、職場のサイコロジカルセーフティ(心理的安全性)を担保することだ』と言ったのを、自分も常に意識してきた」。

実際、その方の部下である管理職の女性は、子育ての傍ら、社内で様々なアイディアを提案し、試す機会を与えられ、実に活き活きと仕事をしています。

ハーバードビジネスレビューで、認知の多様性の大きいチームほど、不確かで複雑な状況下での問題解決が早かった、というレポートが紹介されていました(注)。

認知の多様性とは、物事への取り組み方や情報処理のやり方の違いを指します。

同じ問題に対し、いろいろな見方やアプローチができるチームの方が、成果が上がるということです。

認知の多様性は人種、男女、年齢などとは相関がなく、組織でも社会でも至る所に存在します。

しかし、その場の文化が「均質的」である場合、認知の多様性は抑制される、というのです。

このレポートでは、多様性のメリットが遺憾なく発揮されるには、チームメンバーが安心していろいろなやり方を試すことができる環境(心理的安全性)をマネージャーが作ることが重要だ、と結んでいます。

ギャラップが昨年世界各国の企業を対象に行った従業員エンゲージメント調査です。

日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%(139か国中132位)しかいない一方で「やる気のない社員」が70%もいるという結果でした。

日本の企業では、冒頭の例のように自分らしさを前面に出し、活き活きと働ける環境はまだ少数派と言えそうです。

ある優秀な若手の職場を去る時の言葉です。

「自分らしさを出せない、言いたいことが自由に言えない職場では、心が不安定になって生産性が下がる」。

彼は新しい職場で別人のように元気に活躍していました。

その人の強みを引き出せなかった職場は、結果として大きな損失を被ったことになります。

マネージャーがメンバーそれぞれの見方やアプローチを尊重し、結果としてチームの成果が上がる、そういう職場が増えることを願ってやみません。

(注)Reynolds, Alison, and David Lewis [2017], “Teams Solve Problems Faster When They’re More Cognitively Diverse” Harvard Business Review.

この記事を書いた人

重次泰子

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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