組織のパワハラについて考える

厚生労働省の調査によると、「過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがある」と回答した従業員は、全体の32.5%、つまり3人に1人にのぼります。
そのうち約8割が上司から部下へのパワハラとなっています。
1日の大半を過ごす職場で、部下がびくびくしながら過ごす時間を、純粋に生産活動に向けられたらと考えると、非常にもったいないことだと思います。

上司がパワハラをしてしまうときとは?

ハーバードビジネスレビューは、パワハラはパフォーマンスの悪い部下だけでなく、優秀な部下も対象となる、と指摘しています。
上司が、社会的支配志向性(SDO)が高い、つまり、社会を弱肉強食の世界ととらえる傾向が強い場合に多く発生するというのです。
ヒエラルキーのトップとしての地位を脅かされることを恐れ、優秀な部下を排除するためにパワハラをしてしまう。
企業全体にとっては大きな損失です。

パワハラを防ぐには

厚生労働省のパワーハラスメント対策導入マニュアルでは、

  1. トップがパワハラはいけないという明確なメッセージを発する
  2. 就業規定にパワハラを行った場合の懲戒規則を盛り込む、

など7つの取り組みを推奨しています。
もっとも、これらはパワハラをする側に自覚がなければ、機能しない恐れがあります。
パワハラはいけない、といつもパワハラしている上司がスピーチしている、などという笑えない職場もあるのではないでしょうか。

上述のハーバードビジネスレビューでは、優秀な人材を育成し、昇格させた場合、その上司も評価が上がるような仕組みを取り入れることが重要だと指摘しています。
育成の成果を数値化することは難しいですが、少なくともベテラン社員や優秀な人材の離職率などは数値化できるでしょう。
上司にとって部下を育てることが、自分にとってもメリットになるような、ウィンウィンの関係ができれば、パワハラを減らすことにつながるでしょう。
また、従業員の組織への信頼が増し、優秀な人材の離職率も下がる、好循環が生まれるかもしれません。

この記事を書いた人

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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