少数派がもたらす真の生産性

LGBTは生産性がない?

2か月ほど前、ある国会議員が「LGBTは生産性がない」と発言し、批判を受けました。
生産性を「子供を産むか産まないか」だけでとらえる考え方に、私も違和感を覚えました。
私はむしろ、LGBTの方や、女性など、社会で「少数派」と呼ばれる人達が、今後の日本で重要な役割を果たすと考えています。
「別の見方で考えられる人」の役割です。

日本の制度疲労の原因は?

日本は景気回復が続いていますが、これまで蓄積してきた制度疲労が表面化しているのも事実です。
それが、このままで大丈夫だろうかという不安につながり、成長の足を引っ張っています。
例えば高水準の政府債務。
先進国で最悪の水準ですが、2019年度の概算要求は過去最高。
歳出はリーマンショックで大幅に拡大し、景気が回復してからも殆ど縮小していません。
また、待機児童や少子化対策。
政府の肝いりで保育所を増やし、待機児童は4年ぶりに減少しましたが、出生率は回復せず、人口減少ペースに歯止めはかかっていません。
なぜここまで来てしまったのか。
私は、制度を決める側に、「これおかしいよ」「このままだとまずいよ」という人が足りなかったのが原因の一つではないかと感じています。
女性は人口の半分ですが、企業の幹部、国会議員など、物事を「決める側」では少数派です。
もし、国会議員や、企業の幹部に女性が半分いたら、もっと早く少子化対策を始められたかもしれません。
ワークライフバランスが進み、男性の育児時間が増えて出生率が上がっていたかもしれません。

少数派の活用が制度疲労回避のカギに

ずっと続いていた制度や慣習を変えるには大きな力が必要です。
現在の制度に心地よさを感じている「多数派」が方針転換するのは難しい。
「別の見方で考えられる人」の「これおかしいよ」、「このままだとまずいよ」を取り入れて初めて、制度疲労を起こさない「強い」制度になるのだと思います。
そうは言っても、多様な主張を取り入れてまとめるのは「面倒くさい」。
時間もかかって一見「非生産的」です。
経営大学院INSEADなどがまとめたグローバル人材競争力指数報告(2018年)は指摘しています。
「多様性が、イノベーションや複雑な課題解決のカギであることは周知の事実である。」
「ただし、高いレベルの社会性、互いに協力できるスキルがなければ、非生産的な軋轢を生むだけである。」
今私たちに求められているのは、少数派も含め、多様な意見を積極的に取り込んで、真に生産的な「強い制度」をつくる勇気と覚悟だと思います。

この記事を書いた人

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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