「劣化するオッサン社会の処方箋」を読んで考えたこと

組織のトップは劣化する

はじめに、ここでの「オッサン」の定義は、

  1. 古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する
  2. 過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない
  3. 階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下のものを軽く見る
  4. よそ者や異質なものに不寛容で、排他的

な人を指し、「中高年のオジサン全体」を指すものではない、ということです。
右肩上がりの成長や、変化が緩やかな時代では、「オッサン」はデータベース(経験)としての役割がありました。
しかし、変化が早く、過去の情報が誰でも手に入る時代には、その役割は低下している。
「オッサン」が幹部を占める組織は、変化について行けず、劣化するというわけです。
以前、私も、日本経済は制度疲労を起こしているのではないか、と書きました。
この本でも、大企業の不祥事、官僚の汚職、など「オッサン」社会の弊害を指摘しています。

中堅・若者たちにできることは、オピニオンとエグジット

筆者は、若い世代に進言しています。
「オッサン」の不条理に対し、しっかり意見すること(オピニオン)、それでも状況が変わらなければ、その場を退出すること(エグジット)。
それができるためには、いつでも動けるようにスキルをつけなければならない。
その点で、本を読まない若者が増えていることに、警鐘を鳴らしています。

年長者にできることは?

権力で支配することをやめて、若者たちアイディアを実現できるように、自身のネットワークを使い、支援すること。
「サーバント・リーダーシップ」の考え方です。
若者の活躍の障害になるのではなく、助ける役割としてのリーダーシップです。
そのほか、劣化して「オッサン」にならないために、本物の教養を身に着けること、挑戦し続けること、などを勧めています。

処方箋は、学びにあり

日本の、特に大企業は今、大きな曲がり角に来ていると思います。
やる気のある社員が少ないこの会社のために働きたいという若手が減っている
それは、「オッサン」が企業の中核にいるからです。
どうすればよいのでしょう?
筆者はこう結んでいます。
「最もシンプルかつ重要な処方箋は、私たちの一人ひとりが謙虚な気持ちで新しいモノゴトを積極的に学び続けること」。
つまり、若者だけでなく「オッサンが学び、輝くこと」だと。
あるエピソードを思い出しました。
帰省した際に乗ったタクシーの運転手さんの話です。
お仕事の傍ら、市民大学や通信教育で学び続けている、とおっしゃっていました。
そして、「お客さん、学び続けると、若い人たちと今の話ができます。昔の話をしなくなりますよ」。
自分もそうありたいと強く思いました。

この記事を書いた人

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重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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