やる気スイッチは「内的動機付け」にあり

ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」を読みました

約600ページある「ティール組織」、やっと3分の1まできました。
その中の、「複雑な仕事環境の中では、報奨金は人々のパフォーマンスを向上させるよりも低下させる」という記述に目が留まりました。
「やる気スイッチ」は、目の前にニンジンをぶら下げても入らないことは、薄々感じていました。
しかし、ニンジンが逆にパフォーマンスにマイナスとは。
気になって仕方がない。
それを実証している、ダニエル・ピンクの本を、先に読むことにしました。

インセンティブ(報償)はマイナスの効果

非常に興味深い実験がありました。
「ロウソクの問題」という実験で、被験者はロウソク、画鋲、マッチを使って、少し工夫が必要な、ある課題を解決するよう求められます。
片方のグループにはインセンティブ(報償)を設定しません。
もう片方のグループには、早く解ければ報償がある、と伝えます。
2つのグループで、解けるまでの時間を図り、比較しました。
結果は、報償を提示されたグループの方が3分半も長くかかった、というものでした。
報償を提示したことが、思考を混乱させ、創造性を鈍らせたのです。
「欲に目がくらむ」ことで自由な発想ができなくなったのだな、と私は理解しました。

ムチも逆効果

罰を与えることの逆効果の例も紹介されています。
保育円のお迎えに遅れる人がなくなるよう、罰金を取ることにしたら、遅れる人は2倍になったというのです。
これは私にも経験がありました。
当時、子どもたちを預けていた学童保育はNPOが運営していましたが、都合上、毎月の学童費を期日までに保護者が集める必要がありました。
毎月、第3土曜日の夜に保護者会を開き、学童費を集めますが、毎月全員分を徴収するのに苦心していました。
ある時、徴収率が低いことに悩む、市内の別の学童保育が罰金を導入しました。
結果は、保育園の例と同じでした。
保護者会の出席率が激減し、約束の期日よりもあとに罰金を上乗せして持ってくる人が急増したのです。
「お金を集める人に申し訳ない」という意識から、「お金を払えば済むんでしょう?」という意識に変化したのです。

「内発的動機付け」の大切さ

この本では、モチベーションが高まるためには、

  • 自分で決めるという意識:「自律性」
  • 価値があることが上達すること:「マスタリー(熟達)」
  • 自分以外の人や社会に貢献することを求めること:「目的」

が必要だと指摘しています。
外的なものではなく、自分の中から出てくる「内的動機付け」です。
ここで安芸南高校のことを思い出しました。
彼らの現在の環境は、
部活の運営方法を自分たちで考え、決定する「自律性」、
試行錯誤しながら部活をうまく運営でき、サッカーも強くなる「マスタリー」、
自分がうまくなるだけでなく、チーム全体が良くなることに貢献する「目的」
すべてが備わっています。
もし彼らに「次の大会でベスト4に入ったら、保護者が○○をプレゼントしよう」などのご褒美が設定されてしまっていたら、と考えてしまいました。
そして、彼らの「内的動機付け」が遺憾なく発揮される環境が作られていることに、改めて脱帽する思いでした。

この記事を書いた人

重次泰子

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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