「調和性」の資質を活かそう

実に2か月以上ブログの更新をしていませんでした。
この間私の4位の収集心はフル稼働しており、情報や経験、それによって考えたことは山ほどありました。
アウトプットしなかったのは、大変もったいなかったと猛反省中。
ブログを書くという行為は、単にアウトプットするだけでなく、書きながら気づき、思考を深めるプロセスでもあるので、また少しずつでも書いていきたいと思います。

日本の大企業で多く見られる「調和性」

この間、多くの企業の研修に参加させていただきました。
その中で感じたのが、日本企業で「調和性」をトップ5に持つ方が多いことです。
日本でストレングスファインダーを受検した約80万人(2019年時点)のなかで、出現頻度がもっとも多いのは「最上志向」で、「調和性」は2位ですが、私の印象では大企業での「調和性」出現率はダントツ1位。
「調和性」は集団実行力、チームワークの才能です。
和を大切にし、皆が同じ方向を向いている時に、「チーム一丸となって」ものすごい力を発揮することができます。
高度経済成長期のように、欧米に追い付き追い越せ、という方向性が決まっていて、高い品質を追求するという状況は、「最上志向」「調和性」をトップに持つ日本人が強みを活かす最高の環境だったかもしれません。

一方、現代は予測不能なVUCAの時代です。
企業もどの方向に行けばよいのか分からないが、少なくともビジネスモデルの変革を迫られている。
企業のリーダーの方から聞こえてくるのは、「決まった仕事はきっちりやるけど、自分から何かを変えることには消極的な人が多い」という焦りの声です。

波風を立てたくない、現実主義な側面も

「調和性」を持つ人は、「波風を立てたくない」という意識が強く働きます。
従って「調和性」を持つ人がメンバーに多いと、皆が安心して仕事ができるか、互いに気を配るので、穏やかな職場が実現します。
一方、自分の考えがあっても、チームや組織の大部分が別の方向でまとまりそうなら、それに従うことも多い。
合意を取ってとにかく前に進むことを優先するので、現実的で実行しやすい選択肢を取る傾向があります。
うまく機能すれば、チームとしてまとまりやすいし、集団実行力として力を発揮できるのだと思います。
しかしこれは、裏を返せば、忖度が起こりやすいことも意味します。
敢えて異を唱えないので、大きく舵を切らなければいけない時、切り出すタイミングが遅れる可能性があります。

「調和性」の人が行動を起こすとき

以前、「調和性」を上位に持つ中堅リーダーの方に、「どういう条件があれば、現状を変えるための行動を起こせますか?」と質問しました。
すると、「皆が本当に変化しなければいけないというコンセンサスがあり、自分が行動しても受け入れられる安心感があること」と答えてくれました。

また、中堅リーダーや若手メンバーを中心とするワークショップで、「何の責任も課さない、誰が発したのかも追求しない、出来るかできないか実効性は問わない」という条件を付けて、会社のために今どんなアクションが必要か、アイディアを出してもらいました。
すると、初めはためらっていた方たちも、少しずつ手を動かし始め、次第に出るわ出るわ、模造紙が驚くほど斬新なアイディアでいっぱいになりました。
そして、「これは実際にやった方が良いのではないか」、
「マネージャーに進言してみよう」という声も上がってきました。

「行動を起こしても大丈夫である、という安心できる環境があれば、アクションが起きてそれが波及し、大きな力になる」ということを目の当たりにし、少しゾクゾクする思いでした。

本当に安心安全な場があれば、「調和性」は凄い力に

この頃駅のエスカレーターの前に、「歩かずに2列でご利用ください」という大きな表示を目にしますが、実際右の列に止まって乗っている人は殆どいません。
先日の京急の「羽田空港国内線ターミナル」駅に行ったとき、大きな荷物を持つ人ばかりで右側を歩く人は少なかったのに、左側に乗る人の列が20メートルほど出来ていました。
そして、かく言う私も、周りの人の目が気になり、列に並んでしまいました。
しかし、その後羽田空港で、警備員さんが「2列でお願いします」と誘導しているエスカレーターでは、皆が2列で乗っていました。

なるほど、この警備員さんが必要なのだ、と思いました。
「絶対に大丈夫だから」と言ってくれる強いリーダーシップがあり、実際にそれに従って行動している人が確認できれば、「調和性」の人はものすごいエネルギーで行動できるはず。
敢えて異を唱えないなんて情けない、と言うことなかれ。
そういう「才能」なのです。
それが分かっているならば、「調和性」を活かせる環境を作ること、そこに集中することこそが大切なのではないか、そう感じました。

この記事を書いた人

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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