ネガティブなフィードバックが効果的に機能するには

企業研修でもらったフィードバック

先日サポートコーチとして参加させてもらった企業研修が終わった時、大先輩たちからフィードバックをもらいました。
その研修は、管理職の方たちを対象とした新しい試みが盛り込まれ、私にとって非常にチャレンジングなものでした。
それがモロに表情に出ていたようで、
「いやあ、重次さんの顔が途中から険しくなったなあ、遠くから見ても分かった。」
「重次さん、大変だったみたいね。顔は笑ってるんだけど、力が入ってるから、目の下がだんだん赤くなってきてたよ。」
何ともお恥ずかしい限り。
恥ずかしいという気持ちはあったのですが、不思議なほど素直に受け入れることができ、なぜか少し嬉しい気持ちさえしました。
そして、その日以来、自分がよりやわらかい顔に見えるにはどうすればよいかを少し意識するようになりました。

ネガティブなフィードバックは成長にとって必須

ちょうど昨日、コーチ仲間のKさんが、ハーバードビジネスレビューの興味深い記事(「フィードバックはどうすれば効果的なのか」)を紹介してくれました。
この記事では、ネガティブなフィードバックの重要性を指摘しています。

強みだけに注目することは、改善が必要な分野などない、と従業員に思い込ませてしまう結果を招く。また、マネジャーを、部下や同僚の成長を促すという必要不可欠な(そして時として困難な)義務から解放することになり、結果的に組織の有効性を損ねてしまいかねない。

したがって、単にネガティブなフィードバックを避けることを奨励するのではなく、ネガティブなフィードバックを与えるにはどうすべきか、に焦点を当てるべきである。受け手が脅威として反応する可能性を最小限に食い止める方法を探るべきなのである。

実際、管理職の皆さんからは、こんな声が寄せられます。

日々仕事をする上では、仕事の期日も決まっているし、クオリティも求められる。ネガティブなフィードバックやティーチングがどうしても必要。早くできるようになってもらわないと困るので。

限られた時間の中で、プレイングマネージャーとして、自分も成果が求められ、部下も育成しなければならない。
管理職としては至極自然な意見だと思います。

一方、部下の立場の方たちに接してみると、時として、非常に自己肯定感が低い場合があり、気になります。
ストレングスファインダーのワークショップを行っても、ご自分を好きになれない、自分の強みを良いものと思えない、と言った発言が見られます。
「私は自分の資質をあまり強みとして使えていないみたいです。」
「強みがあっても、上司が求めることに応えられなければしょうがない」。
「会社が求める人物は、自分の資質では満たせないのでは。」
ネガティブなフィードバックを多く受けすぎて委縮してしまったのか、前向きに取り組もうというエネルギーが下がってしまっている印象です。

ネガティブなフィードバックを前向きに受け取るために

前述の記事では、きちんとネガティブなフィードバックをするために、以下のアプローチを勧めています。

筆者らは、長所と短所の両面へのフィードバックを明快かつ具体的に、プロ意識と思いやりを込めて与える、状況(Situation)・言動(Behavior)・影響(Impact)アプローチを教えている。

このアプローチでは、フィードバックを与える側が、まずその対象となる行動が起こった時間と場所を指摘し、見聞きした言動がどのようなものであったかを具体的に表現し、それが自身の思考や感じ方、行動にどんな影響を与えたかを伝える。

私が先輩コーチ達から受けたフィードバックはまさにこれに当てはまると思いました。
いつ、(研修の後半部分)、どこで、(管理職の皆さんへの研修の場で)、どのようなものだった(私の表情が険しくなった、顔が笑っていても力んでいてぎこちなかった、とみている側からは感じた)。
「あなたはもっと優しい顔をしなければいけない」などのアドバイスではありません。
そして、そういえば折に触れ、ポジティブなフィードバックもくれる。
だから、ネガティブなフィードバックも、自分を見てくれている、と前向きに受け取ることができたのだと思います。

どんなに時間が無くても、毎朝30秒のポジティブなフィードバックや挨拶、ちょっとした承認の言葉があれば、ネガティブなフィードバックを前向きに受け取ることができる、そのことを実感する体験でした。

この記事を書いた人

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重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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