ボスからコーチへ

アドバイスしないで引き出すということ

先日ある企業の管理職向け研修に参加させていただきました。
「自分の強みを使って、部下の強みを引き出す」ことを目的としたものです。
企業人として努力し、成果を上げてきた管理職の方が、自分の成功体験は脇に置いて、部下やチームの力を引き出すために真剣に取り組まれていました。
自分もプレイヤーとして成果をあげなければいけない、締め切りも迫っている。
忙しい中でのわずかな時間の中で、指示待ち型の部下を、いかにして自ら考えて動き、成果を上げてもらえるよう働きかけるのか。
自らがアドバイスしたい気持ちをぐっと抑えて、聞くこと、質問することに集中されていました。

日本の職場が置かれている状況

6月に米国で開催された、ギャラップのストレングスサミットでのテーマの一つが「ボスからコーチへ」でした。
指示命令するボスから、部下の強みを引き出すコーチになることが、企業の付加価値を高める鍵だという内容です。

お土産にもらった「IT‘S THE MANAGER」という分厚い本の冒頭には、世界の労働生産性の伸びがすう勢的に低下していることが示されています。
他の先進国と同様に、日本の生産性の伸びも下がっています。
生産年齢人口が急激に減少している日本は、生産年齢人口の減少分を上回る生産性の伸びが無ければ、マイナス成長に突入します。
人口が横ばいもしくはわずかでも増加している他の先進国とは深刻さが違うわけです。

その一方で、日本は、熱意をもって働く従業員は全体のわずか6%と、先進国のなかで突出して低いという事実があります。
ギャラップのサーベイでは、熱意を持って働く人が増えると、離職率や事故率が下がり、生産性が上がることが確認されています。
逆を言えば、熱意を持って働く人が低い日本では、このままでは生産性の伸びはさらに低下するかもしれない。
ギャラップが、前書きでわざわざ日本を名指ししてウォーニングを出しているのはそんなことが背景になるのではないか、と私は理解しました。

日本でも、優秀な人材を新しく採用することが年々難しくなるなかで、今いる人をいかに活用するか、熱意を持って働く社員(エンゲージメントの高い社員)にするかが重要になるのだと思います。

日本でも、少しずつ広まりつつある「ボスからコーチへ」。
この流れを加速させるために、自分にできることは何か、真剣に取り組む管理職の皆さんを見ながら、改めて考えさせられる時間でした。

この記事を書いた人

重次泰子

重次泰子

熊本県出身。
慶応義塾大学、経済学部卒業。
銀行で8年勤務し、その後4年ほど2人の子育てに専念。
その後シンクタンクで11年派遣社員(嘱託研究員)、2年間研究員として勤務。
この間、コーチングに出会い、学ぶ中で、「メンバーの幸福度とチームの成果の両方を引き上げる仕組みづくりはないか」という問題意識を持ち、Gallup認定ストレングスコーチ資格を取得。

2018年10月「リソース活用ラボ」開業。
(一財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ
ギャラップ認定ストレングスコーチ

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